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ワシントン条約第19回締約国会議(COP19)における
メジロザメ類の附属書掲載提案可決について

2022年11月14日から11月25日にかけてパナマにて、ワシントン条約(CITES)の第19回締約国会議が開催されました。その際、ヨシキリザメを含むメジロザメ類が附属書Ⅱに掲載されることが決定しました。このことについて、補足説明も交えながら簡潔に状況の説明をまとめましたのでご参考ください。

和名:ヨシキリザメ / 英名:Blue Shark
和名:ヨシキリザメ / 英名:Blue Shark

まずはじめに、今回のヨシキリザメを含むメジロザメ科の規制を受けて

サメの漁獲やフカヒレの使用・所持が
制限されることはございません。

ワシントン条約とその目的

ワシントン条約(CITES:絶滅のおそれのある野生動植物の種の国際取引に関する条約)は、野生動植物の国際取引の規制を輸出国と輸入国とが協力して実施することにより、絶滅のおそれのある野生動植物の保護をはかることを目的とする。

外務省「ワシントン条約」https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/wasntn.html(参照 2022ー11ー14)

上記の通り、ワシントン条約は、国際取引(輸出入)を規制する条約であり、漁獲や使用、所持に関して規制を行うものではありません

附属書とは

ワシントン条約では、附属書に掲載された動植物が規制対象となります。
附属書はⅠ・Ⅱ・Ⅲの三種類で、Ⅰがより厳しい規制の対象となり、Ⅰに掲載される動植物は、原則国際取引はできません。(図1)

今回、ヨシキリザメを含むメジロザメ科が掲載された附属書Ⅱは、輸出国の輸出許可書の発給を受けることで引き続き国際取引が可能です。

図1:CITES附属書掲載基準と掲載に伴う規制内容
CITES附属書掲載基準と掲載に伴う規制内容

今回のワシントン条約による影響は?

国内流通に全く影響は出ないのか?

多少の影響は出ると考えられています。輸出許可書の発給を受けることができず、フカヒレを輸出できなくなる国が出てくる可能性は否定できません。そのため、海外からの輸入原料の減少は考えられます。必要書類の添付が可能な輸出国からの輸入は継続されるため、今後どの国が輸出可能か、各国の対応を注視し見通しを出していきます。

今後もヨシキリザメのフカヒレは使用できるのか?

  • 今まで通り、使用できます。ワシントン条約における規制は、あくまで国際取引(輸出入)の規制ですので、使用や所持についての規制はありません

  • ヨシキリザメのフカヒレ姿煮

    ヨシキリザメのフカヒレ姿煮

気仙沼の水揚げに影響はあるのか?

  • 気仙沼港

    気仙沼港

  • 今まで通りの水揚げ量が期待できると予測されています。先に述べたとおり、ワシントン条約では漁獲に関する規制は行われないため、日本国内におけるサメの水揚げには全く影響がありません

ヨシキリザメは資源が減少しているのか。

資源は潤沢にあり、減少もしていません。世界の海を5つに分けサメを含むマグロ類の資源管理を行う「RFMO」と呼ばれる国際機関があり、日本はWCPFC(中西部太平洋まぐろ類委員会)に加盟しています。(図2)

それぞれの海域ごとに資源量を調査する『資源評価』と呼ばれる調査が4~5年に一度行われ、公式な資源状況報告として発表されています。ヨシキリザメは世界中の海に生息していて、どの海域においても資源は潤沢にあることが先に述べたRFMOにより公式に報告されています。

図2:主要な5つの国際マグロ漁業管理機関(RFMO)

主要な5つの国際マグロ漁業管理機関(RFMO)

※国際資源現況についての詳細はこちら
https://kokushi.fra.go.jp/R03/R03_34_BSH-PO.pdf

ヨシキリザメとレッドリスト

「レッドリスト」をご存じですか。
地球温暖化をはじめとした、様々な環境問題が蔓延り、社会全体で環境について考えることも多い昨今、一度は耳にしたことがある方も多いのではないでしょうか。

レッドリストとは絶滅のおそれのある野生生物の種のリストです。国際的には国際自然保護連合 (IUCN)が作成しており、国内では、環境省のほか、地方公共団体やNGOなどが作成しています。

THE IUCN RED LIST OF THREATENED SPECES
https://www.iucnredlist.org/ja/(参照 2022ー12ー02)

では、レッドリストに登録されている野生生物はすべて、今にも絶滅の恐れがある野生生物なのでしょうか…?
もう少し詳しく見ていきましょう。レッドリストにはいくつかのカテゴリーがあり、絶滅危険度によって分類されます。(図3)

図3:レッドリストカテゴリ(一部)

レッドリストカテゴリ(一部)

一般的に「絶滅のおそれのある野生生物」とされているのは、特に絶滅の危機が高いとされる、3つのカテゴリー(【CR】Critically Endangered、【EN】Endangered、【VU】 Vulnerable)にランクされている野生生物です。

WWFジャパン「絶滅の危機に瀕している世界の野生生物のリスト「レッドリスト」について」
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3559.html#section1(参照 2022ー11ー16)

では、今回ワシントン条約で附属書Ⅱに登録されたヨシキリザメは、一体どのカテゴリーに分類されているのでしょうか。

ヨシキリザメは「準絶滅危惧種(NT)」に分類されています。

この準絶滅危惧種には、「マアジ」「キハダ」「トラフグ」なども分類されています。お刺身やフライなどで普段の食卓でもよく目にする魚ではないでしょうか。もちろん、現在は絶滅危険度は小さくても、乱獲や環境の変化により生態系が崩れる恐れはあります。限りある資源を守るためには、資源管理が必要です。

参考・引用一覧

・外務省「ワシントン条約」
https://www.mofa.go.jp/mofaj/gaiko/kankyo/jyoyaku/wasntn.html(参照 2022ー11ー14)
・WWFジャパン「絶滅の危機に瀕している世界の野生生物のリスト「レッドリスト」について」
https://www.wwf.or.jp/activities/basicinfo/3559.html#section1(参照 2022ー11ー16)
・FRA「令和3年度国際漁業資源の現況」
https://kokushi.fra.go.jp/R03/R03_34_BSH-PO.pdf(参照 2022ー11ー16)
・THE IUCN RED LIST OF THREATENED SPECES
https://www.iucnredlist.org/ja/(参照 2022ー12ー02)

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